ジャニスは、父に似たのかな。父もとてもしっかりして、感情を表す人ではありません。でも、やさしいところにビックリさせられることもありました。
子供のときにいちばん好きだったジャンパーを、まだ覚えています。赤くて、暖かくて、ニットウエアのえりとそで口があって、ドナルドダックのワッペンが胸についていました。3人揃ってその赤いジャンパーを着て買い物に出かけていた時のことです。
ジャニスがいたずらでひょいと足を出したのです。私の手はポケットに入っていたので、地面に倒れるのを腕でとめることが出来ませんでした。横隔膜を強く打ったのでしょう。起き上がる時、息が出来なかったのです。
「ジューン、ごめんね。だいじょうぶ?}
ジャニスの質問に答えることができませんでした。
「ジューン、大丈夫?」と、ダデイーに聞かれました。
「息...が...できな...」意識をうしないました。気がつくと、ウ~とうなづいて、足で地面をじだんだ踏み、ひじでダディーに支えられているのです。あ...れ。
息を取り戻すための、体の自動的反応だったのでしょう。
その時、父がそばにいたことを、ありがたく感じました。
別の日、外で遊んでいる時、家に入ってきて横にならなければならない程、急に頭がいたくなりました。こんなに痛くなるのは、生まれて初めてと、思いました。何とか痛みを消そうと頭に枕を当てました...けれど、どうにもなりません。
「ジューン、どうしたの。」と、父が部屋に入ってきました。
「あたまが...いたい。」
熱をはかって、解熱ざいをくれたと思いますけれど、全然楽になりません。一時的に精神が錯乱したようになりました。頭をまくらの上にたたき、呻き、涙を流していました。はっきり覚えていません。
父は私のそばに座り、「シー。しずかに。しずかにしなさい。ジューン、目を閉じて寝なさい...」と言われたことは、覚えています。親の言うことに従うという自動的反応で、私は泣くのをやめて、目を閉じて、眠りました。父の手を握ったまま。
いちばん痛い時に、そばを離れなかったダディーをスゴクありがたく思いました。
いつか、心が「いちばんいたい」ときに、このことを思い出して、人間の父親でさえできることだったら、...天のお父様は自分から絶対離れないと安心できるのね。

